イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「親父達の中じゃもう納得し合ってるらしい。だから“予定が変わってすぐ入籍することにした”とかって一報しておけば大丈夫だろ」

「なんか妊娠したのかと思われそう……」


入籍を早める理由なんて、他にあまり考えつかないから。

絶対大騒ぎするだろう家族三人の姿を想像した私は、「たしかにな」と言う零士さんの一言も相まって少し気が重くなった。

またヨシさん達にも改めて挨拶しに行かなきゃ、と考えていると、ふっと笑いをこぼした零士さんが言う。


「証明書は平日じゃないともらえねーらしいから、月曜になったら俺が休憩中にでも取りに行く。これで疑われても問題ない」

「完璧ですね」


零士さんの策士っぷりには脱帽する。まさか、ここまでしてくれるとは思わなかった。

ちゃんとした恋人になる前から、私なんかと本当にこれからの人生を歩む決意をしてくれていたなんて。


「疑ってたわけじゃないけど……零士さん、本当に結婚する決心をしてくれてたんですね」


強引なやり方には驚いたけれどやっぱり嬉しくて、口元を緩めながら言った。

ふいに露出した肩と背中が寒くなってきて、婚姻届をそっと枕の上に置き、再び毛布の中に潜り込む。そこから頭だけ出した私に、優しい目をした零士さんが手を伸ばしてきた。

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