イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
* * *
こうしてれっきとした夫婦になったわけだけれど、私はどうしても心に残っているモヤモヤがあった。
それは、仲良くしてくれている早乙女くんや本庄さんには、騙していたことを謝った方がいいんじゃないかという思い。
営業部の皆に夫婦アピールをしてしまった日から数日後、ふみかに“結婚祝いで飲みに行こう!”と誘われたので、仕事終わりに向かったユウヤケでその相談をしていた。
「あたしは言わなくてもいいんじゃないかなって思うよ」
ボブの髪の毛を後ろでちょこんと結んだふみかは、少し考えてフライドポテトを摘みながらそう言った。
私はまだ迷いが消えず、うーんと唸る。
「そうかな……」
「一葉は謝ってスッキリするかもしれないけど、相手は複雑な気分になるだけじゃない?」
ハッキリと言われて、少しはっとさせられた。
たしかに、私は自分の罪悪感を消したくて謝りたいと思っているのかもしれない。結局、自分のことしか考えていないのかも。
「もう本当に結婚したんだし、何も今さら暴露することないよ。するにしても、もっと時間を置いて“実はあの時は~”って話した方が、お互い笑い話にできるんじゃないかなぁ」