イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
極上な日々の始まり Side*零士
一葉と本当の夫婦になってから、早くも一ヶ月が経つ。
数日前に引っ越しが完了し、一緒に暮らし始めた彼女は『これ夢だったんです!』とか言って、毎朝ネクタイを結んでくれていたりする。
年末年始はお互いの実家に改めて挨拶をしに行き、兄貴にも一葉を会わせることができた。桐絵とも順調そうで、前よりずっと幸せそうなふたりを見るとほっとする。
親同士はすでに気心知れた仲だし、両家の顔合わせをする必要がなかったことで、すぐに入籍することができたから助かった。
まぁ、電撃結婚には皆が驚いていたが。
職場では、相変わらず上司と部下の姿勢を崩すことはない。
ひとつ変わったことと言えば、お互い指輪をするようになったことくらいだ。一応、俺のものだって示しておかないとな。
皆は俺が婿になっただなんて、夢にも思っていないだろう。一葉の両親と同居しているわけではないから、自分でも実感がないし。
それでも、新しい家族ができたことは、想像以上に心が豊かになったように感じていた。
「坂本部長、なんだか雰囲気が柔らかくなりましたね」
商品の提案をしに訪れたホテルの洋食レストランのマネージャーからも、今そんなことを言われている。
普段の営業は部下に任せているが、今回は俺が行うことにしたため、マネージャーと会うのも久々だ。