イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
マネージャーは納得したように頷き、明るい表情を見せた。


「部長自ら出向くなんて珍しいなと思ってたけど、そういうことでしたか。ランチバイキングで何か目新しい料理をと思っていたので、商品共々参考にさせてもらいます」

「えぇ、ぜひご検討ください」


誠意を込めて頭を下げ、これで切り上げようと思った、その時。


「じゃあ、ラブラブな新婚のおふたりに、こちらからもご提案させていただいてよろしいですか?」


意味深な笑みを浮かべてそんなことを言ってくるマネージャーに、俺はキョトンとしてわずかに首をかしげた。


 * * *


二月の初旬、先日積もった雪がまだ少し残っている中、俺と一葉は初めての場所に訪れていた。

美しい清流の滝が目を引く庭園。そこを抜け、緩やかな階段の先にそびえるのは、ゴシック様式の教会。

以前マネージャーに紹介された、ホテルと提携している結婚式場で行われるブライダルフェアにやってきたのだ。

プランナーに案内されて館内を見学している今、隣にいる一葉は目を輝かせっぱなしだ。


「どうしよう零士さん、テンション上がっちゃいますー!」


興奮気味に俺の腕にくっついてくる一葉に対し、俺はなぜか第三者目線で式場内を観察してしまう。

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