イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「2組だった、澤田」


──その名前を聞いて、私はギクリとした。

さ、澤田くんなの!? まさか、あの時のこと聞いちゃってたりしないよね……!?


高校時代から目立つタイプで、私とも顔見知りだった澤田くんは、去年たまたま私も参加した合コンで、男性陣の中に混ざっていたのだ。

思わぬ再会をした私達は、話が盛り上がってちょっぴりいい雰囲気に……なっていたと思うのだけど。

恋人に求める条件は?という話題になり、いい具合にお酒が回っていた私は、『将来ムコ殿になってくれる人が最低条件! 絶賛募集中です~』と、今思えばかなり重い発言をしていた。


案の定、私の勢いに澤田くんは引いてしまい、それ以降はあまり話も盛り上がらずに終了。

そんな少々イタい思い出のある彼が、まさか香奈子の旦那様になるとは……!

ひとり世間の狭さに打ちひしがれる私に、皆は気付くはずもなく、興味津々で香奈子に迫る。


「うっそ~、あの澤田くんと結婚とか信じられない! いつの間に付き合ってたわけ?」

「付き合い始めたのは半年前」

「スピード婚じゃん」


皆と一緒に私も驚いて無意識に口を開けていると、香奈子は照れ隠しのように、オレンジ色のカクテルをマドラーでぐるぐると混ぜながら言う。

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