イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
今の話からすると、付き合っている人もいなさそうだ。そろそろ部長だって結婚を意識するだろうに、彼女が欲しいとか思わないんだろうか。


──はっ。

部長と結婚、ということについてぼんやり考えていると、突然ピンと閃いた。とてつもなく無理があって、認めてもらえるわけもないことを。

でも、なにせ私は酔っ払っている。それを思い付いた瞬間バッと顔を上げ、何も考えずにそのまま口にしてしまっていた。



「部長……私と結婚してください!」



真横から、背筋を伸ばしてまさかの求婚をする私。

この時の部長の、鳩が豆鉄砲くらいまくってるような顔は、二度とお目にかかれないかもしれない。


「…………はぁ?」


数秒経ってから、彼の気の抜けた声が響き、私は間髪入れず深々と頭を下げる。


「お願いします、お婿さんになってください!!」

「無理に決まってんだろ!」


今度は清々しいくらいの即答。

これが当然だと十分わかっていながらも、私はしつこく泣きついてしまうのです。なにせ酔っ払っているから。


「そこをなんとか……! 苗字変えなくていいんですよ!?」


そう、同じ苗字なのだから、部長がお婿さんになったとしても誰も気付かない。それならちょっとは抵抗がなくなって、結婚を視野に入れてもらえるんじゃないかな、なんて。

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