イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
ぴくん、と肩が跳ねる。でも、なぜか動けない。

彼の指は、ツツッと頬をなぞるようにして移動する。どうやら、私が乱れたせいで口に付いてしまっていたおくれ毛を取ってくれたらしい。


「俺がどれだけ意地が悪くて、自分勝手で、優しさに欠けた男か……」


言葉とは裏腹に、手つきは優しくて、ドキドキする。

……と思ったら。彼の手は上の方に移動し、中指でピン!と軽く私のおでこを弾いた。

不意打ちのデコピンに、「いった!」と思わず声を上げる私を見て、部長はクッといたずらな笑みを漏らした。


「知りたくもねぇだろ、こんなヤツのこと。もう軽々しく結婚してくれなんて言うなよ」


姿勢を元に戻して、再びグラスを手にする部長。私はおでこを押さえたまま、ムッとする。

キツいことを言って、ほんのり甘い雰囲気を漂わせたかと思いきや、また突き放して。……駆け引き上手な大人の男って、ずるい。


そんなふうにされると、知りたくなっちゃいますよ。

あなたにあって、私にないもの。どれを身に付ければ、私はあなたのような大人になれるのか。

恋愛偏差値を上げて、結婚したいと思ってもらえる女になるにはどうしたらいいのか──教えてほしい。

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