イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
振り返れば、片手を腰にあてた部長様が、怪訝そうに私を見ていた。彼の後ろには、シャッターが開いたトラックが見える。


「部長こそ、何やってるんですか?」

「見りゃわかるだろ。荷物積んでんだ」


部長が親指で示すトラックの荷台にも、段ボール箱が積まれている。彼はこれを運んでいたのか。

でも、営業である彼がどうしてこんなことをしているのだろう。時間外だというのに。


「どうして部長が? これは配送部の仕事じゃ……」


不思議そうにして部長を見上げると、彼は少しネクタイを緩めながら言う。


「明日のホテルへの配送、乾物くらいは今から積んでおけばラクだろ。冷蔵品も品数揃えて冷蔵庫に分けておけば、明日出すだけで済むし」


それを聞いて、私はやっと理解した。部長は、明日配送の人達の手間が少しでも省けるように手伝っているのだ。

もしかして、田沼部長に言われたことを気にして……?

意外と罪悪感を抱いていたのかな、なんて思っていると、部長はなぜか私に鋭い目線を向けながら、「言っとくけど」と補足する。


「タヌキ親父に言われたからじゃねぇぞ。受注した時からこれも想定済み。俺が何の考えもなしにホイホイ引き受けてると思ったら大間違いだ」

< 67 / 320 >

この作品をシェア

pagetop