イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
私の考えを見抜き、忌ま忌ましそうな顔をする彼は、きっと本当に最初からこうするつもりだったのだろう。

なんだ……部長、彼らが大変な思いをするということを、ちゃんとわかっていたんじゃない。

こうして営業の仕事が終わった後に、自ら残業して手伝いをしているのに、ブラック上司だなんて言ったら罰が当たるよ。


彼の隠れた思いやりを知って、なんだか胸の奥が熱くなる。

ドキドキと、ときめきではないけどそれと似たような、心地良いざわめきを覚える。……これは何?

不思議な感覚がする胸に、無意識に手をあてる私はさておき、部長は足を踏み出した。


「仕事終わったなら早く帰れ」


すれ違いざまに素っ気なく言い、倉庫へと向かっていく彼を、私はすぐに振り返る。


「部長!」


呼び止められてこちらを向いた彼に、私は衝動的にこう言っていた。


「私にも手伝わせてください!」


この一言は想定外だったのか、部長はキョトンとして口を開く。


「何で」

「……部長が進んで人の仕事もやってるのに、自分は何もしないのが嫌だから」


彼の瞳を見つめて、素直な気持ちを伝えた。

先に帰ることの罪悪感や、後ろめたさからじゃない。ただ単純に、彼の力になりたいと思った。

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