イケメン部長と（仮）新婚ライフ!?
なんだか優しくて調子が狂う……。けど、家まで送ってもらえるのはとってもありがたい。


「いいんですか？　本当に……」

「あ、ひとつ頼み事がある」


遠慮がちに部長を見上げると、彼は腕を組み、思い付いたように言った。


「お前、料理できる？」


まったく予想していなかった質問をされて、ぱちぱちと瞬きしながらもとりあえず答える。


「……まぁ、人並み程度には」

「じゃあ、晩飯は頼んだ」


クイッと口角を上げて、彼は私の前から離れた。誰もいなくなった暗闇を見たまま、しばし固まる私。

晩飯って……それはつまり……


「私が作るんですか!?　部長の家で!?」


驚愕してくるりと右側を向くと。部長は運転席側の後部座席のドアを開けて、ビジネスバッグを置きながら独り言のように言う。


「冷蔵庫ん中、たいしたもんなかったな。スーパー寄ってくか」

「聞いてます!?」


声を荒げる私を一瞥した彼は、ドアを閉めると、再びこちら側に回ってくる。


「たまには誰かが自分だけのために作ってくれた料理を食いたくなるんだよ。いつもコンビニ飯や外食で飽きてる俺の状況を察しろ」

「そこまでわかんないですって！」


呆れたような調子で言う部長に、私はつっこまずにはいられない。

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