イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
新妻体験と新たなミッション
部長の家の冷蔵庫には、本当にこれといった食材が入っていないらしい。そのため、途中でスーパーに寄ることになった。
そこまでの道中、私は何を作るかで頭を悩ませていた。部長ってば、『一葉の選択に任せる』なんて困ったことを言ってくれちゃうから。
本当にシミュレーションゲームみたいに、私の頭の中ではいくつかの選択肢が浮かぶ。
男の人って、何を作ったら喜んでくれるのかな。定番なら、やっぱり思い付くのは肉じゃがとかハンバーグとかだけど……。
でも、時間も時間だから手早くできるものがいいだろうし、お腹も減っているだろうから、ご飯が進むようなおかずにしてあげたい。
そうやってあれこれと考えていたから、貴重な部長の運転する姿を気にしていられなかった。
……まぁ、カッコいいのは言わずもがなだし、見惚れてしまわなくてよかったかもしれないけど。
会社から十五分くらいで、部長が住むマンションに程近いスーパーに着いた。彼がカゴを持ってくれて、そこに必要な材料を手早く入れていく。
悩んだ末に決めたのは、豚の生姜焼き。ささっとできるし、ご飯もすすむ。私もよく作る定番メニューだ。
部長は特に嫌いなものはないらしく、どちらかと言えば魚より肉が好きだというし、きっとハズレることはないだろう。