イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
部長って本当に面倒臭がりなんだな……。料理も簡単な焼きそばやカレーくらいしか作れないというし、何でもそつなくこなしてしまいそうなのに、意外とそうでもないらしい。

でも、そんなところが逆に親近感が湧くというか、人間味があって私は好感が持てる。

……と、いい気分になっていたのに、彼はこんなことを言い出す。


「もうロボは必要なくなるかもな。これから一葉がやってくれれば」


私をちらりと見下ろし、意地悪っぽく口角を上げる彼を見て、私はむっとしかめっつらをした。

……部長、私に料理作らせたり、掃除させようとしたり……嫁というより、家政婦のように扱っていませんか?

そう言おうかと思っていると、エレベーターはちょうど八階に到着。不満げな視線を送る私に気付かないフリをして、彼はさっさと下りていくのだった。



廊下の真ん中あたりの部屋の鍵を開け、ドアを押さえていてくれる部長の横を、頭を下げつつすり抜ける。パンプスを脱いで、おずおずと足を踏み入れた。


……あら、綺麗ですけど。

間取りは2LDKだというこの部屋。広いリビングには床に物も散らばっていないし、テーブルの上もすっきりと片付いている。というか、不必要な物があまりない印象。

インテリアも白とダークブラウンで統一されていて、大人の空間という感じがする。

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