イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
ドキッと高鳴る心臓は、妖艶な笑みとともに言われた次の言葉のせいで、さらに激しく動き出す。


「先にメシにする? それとも……一緒に風呂入る?」


なっ……なんという選択肢!!

これでもかというくらい目を見開く私の脳内で、再びゲーム開始。

でも“一緒にお風呂”なんて選択は、まずありえない! これは考えるまでもなくメシです、メシ!

ていうかこれは普通、“あなた、ご飯にする? それともお風呂?”と、可愛らしく奥さんが聞くものじゃ……って、そんなことはどうでもいいのよ一葉!


この人はまた私をからかっているだけなんだから、動揺したら思うツボ。

そうわかっているけれど、顔は赤面しているに違いないし、なぜか怒ったような口調になってしまう。


「わ、私はメシを作りますのでおひとりでどーぞ!!」


そう言い放つと、彼から顔を背けて、ガサガサと荒っぽく材料を取り出した。

ぷっと吹き出した部長は、


「お前はほんと純粋……っつーか単純だな。からかい甲斐があるよ」


と、決して褒め言葉とは取れない一言を投げて、私のさらにそばへと歩み寄ってくる。

思わず身を固くする私に構わず、包丁やフライパンがある位置と、炊飯器の使い方を軽く教え、さっさとバスルームへ向かっていってしまった。

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