イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
あまり使われていなさそうな、綺麗なキッチンにひとりになると、私は大きく息を吐き出した。


もう……心臓を休ませてください、エセ旦那様……。

結婚生活ってこんな感じなの? いや、絶対違うよね。
部長が二次元のイケメンみたいなセリフでからかってくるから、ドキドキしてしまうんだ。

もし今みたいなセリフを、本当に私だけに向けて言ってくれる人が現れたとしたら……心臓がいくつあっても足りなさそう。


でも、こんなふうにときめきを与えてもらうのは、やっぱり嫌ではない。それが欲しくて、恋愛ゲームをする女子と同じだ。

こうなったら課金するつもりで、美味しい料理を作ってあげようじゃないか!

謎のやる気が湧いてきた私は、さっそく下準備を始める。しばらくするとシャワーの音が聞こえてきて、あらぬ妄想をしないように、とにかく料理に意識を集中させた。



部長はものの十分くらいでシャワーを浴び終え、Tシャツに黒のイージーパンツというラフな服装に着替えて戻ってきた。

濡れた髪を、肩に掛けたタオルで拭う姿が、とってもプライベート感が漂っていてドキッとする。すごく色っぽいし……水も滴るイイ男……

あぁーダメダメ、料理に集中!

無意識にじっと見つめてしまっていたことに気付かれないよう、私は慌てて視線を手元のまな板に落とした。

< 82 / 320 >

この作品をシェア

pagetop