イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「マ、マジですかっ!?」

「男に二言はない」


腕を組み、きっぱりと言い切る部長様。

信じられない……簡単にこんな約束しちゃうなんて、やっぱりこの人ただ者じゃない!


……いや、でも。私が結婚願望を持たせるって、言い換えれば、“私と結婚したいと思わせるように仕向ける”ってことよね?

つまり、“結婚したいと思うくらいに、彼をゾッコンにさせなければいけない”……ということだ。

安易な提案かと思いきや、よくよく考えればものすごく難しい! 急激に興奮が治まって、うなだれる。


「難易度高い……」

「そうか? 簡単だろ。要は俺を落とせばいいんだから」


軽く笑う部長は、絶対私にはできっこないと思っているに違いない。それはそれで悔しいな……。

でも、このまま頑張れば胃袋は掴めるかもしれない。それはきっと、このゲームの勝機になる。


変な闘志が湧いてきて、強気な瞳で部長を見上げると、彼は人差し指でクイッと私の顎を持ち上げた。

見開く瞳に、色気が漂う笑みが映る。


「成功したその時は、お前も本当に俺のものになるんだから……覚悟して臨めよ?」


──ドキン!と大きく心臓が飛び跳ねた。

そうだった……婿と引き替えに、私の身も心も捧げることになるのだという、肝心なことを忘れていました!

ムコ殿獲得に向けたこの妙なミッション、私には刺激が強すぎるかもしれない。




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