イケメン部長と（仮）新婚ライフ!?

このタイミングで、私達が頼んだピザがカウンターの向こうから運ばれてきた。なんとか憤りを抑えた本庄さんは、チーズがとろけたそれを一口かじり、落ち着いた声で言う。


「結婚願望がなかったあの人をその気にさせるなんて……あなた結構やるじゃない。男のこと知らなそうな顔してるくせに」


あは、とぎこちない笑いを浮かべる私。

そうですよ。本当は男の人のことも、部長のことすらも何も知りませんから！　さすが本庄さん、見抜いてらっしゃる。

内心ビクビクしつつ、次はどんな質問が飛んでくるかと身構えていると。


「でも彼は、あなたみたいな清純そうな女が好きなのね。元カノもそうだったし」


気になるワードが飛び込んできて、ピクッと反応した私は、思わず興味津々で聞いてしまった。


「元カノ、知ってるんですか!?」


この間、部長の家で料理を振る舞った時から気になっていた。彼は過去に、どんな恋愛をしたのかって。
本庄さんがそれを知っていそうだとなれば、つい食いついてしまう。

でも、彼女は私の問い掛けには答えず、不思議そうな顔をして質問返しをしてくる。


「逆に、あなた知らないの？　好きな人の過去の恋愛って気にならない？」


そう言われて、はっとした。すでに結婚している身で元カノのことをまったく知らないなんて、ちょっと違和感があるかな!?