イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
なんとかおかしくない答えをしなければと、頭をフル回転させる。


「気になる、んですけど……部長はあんまりそういうこと教えてくれなくて」

「あーそうよね。私もしつこく聞いて、ウザがられつつ得た情報だったし」


たどたどしく返したけれど、本庄さんはふっと笑って頷いた。たぶん部長は、本当にこういうことはあまり言いたがらないタイプなのだろう。

納得してくれた様子の本庄さんは、おてふきで手を拭きながら、元カノのことについて話し始める。


「二年くらい前かな、ふたりで零士の車に乗るところを見たのよ。黒髪ロングで品の良さそうな、お嬢様って感じの人だった。あ、でも最近じゃ全然だから安心して」


私を気遣ってくれるように笑う本庄さんは、単純にいい人だなと思いながら、続きに耳を傾ける。


「で、突き詰めたら『もうずっと前に終わってる』って、それだけは白状してくれたの。そうわかったから、私もアタックし始めたんだけどね」

「そうだったんですか……」

「ん。でもあの時の表情とか口調から察するに、ちょっとワケアリっぽかったわよ? ま、ただの女のカンだけど」


“ワケアリ”というのが引っ掛かって、私は神妙な顔で頷いた。

彼が結婚願望を持てなくなってしまった原因は、そのお嬢様っぽい元カノさんとの恋愛にあるのだろうか……。

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