イケメン部長と（仮）新婚ライフ!?
目線を手元のピザに落として、マンションで見た部長の表情を思い返していると、本庄さんは私に優しく笑いかける。


「でも、もう一葉さんがいるんだから、元カノなんか関係ないわよ」


……少し、胸がちくりと痛んだ。

私は奥さんでも、彼女でもない。だから、部長は誰と付き合っても、元カノさんとヨリを戻しても何の問題もない。

私と部長の間には、上司と部下という以外、何の絆もなくて。上辺だけの夫婦を演じていることが、少し虚しくなる。

本庄さんを騙していることにも、彼女の好きな人を横取りしてしまった立場だということにも、やっぱり罪悪感を覚えるし……。


チクチクと胸が刺激され続けるものの、本庄さんはさっぱりとした表情でこんなことを言う。


「なんか今、自分でもびっくりするくらいスッキリしてるの。私、本当はずっと零士のことを諦めるきっかけが欲しかったのかも」

「諦めるきっかけ？」


首をかしげて問い掛けると、彼女は「そう」と言って頷く。


「いつの間にか純粋な好きって気持ちは薄れてて、ただ意地張って追い掛けてただけだったのよ。あなたが現れたことで、それを終わらせることができたから、よかった」


そう言って微笑む彼女は、今までで一番綺麗で、魅力的で。思わずドキリとさせられた。

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