イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
“ただ意地を張っていただけ”、“よかった”

そんな言葉達を聞くと、ほんの少し罪悪感は薄れていく。

本庄さんは、いつの間にかかたくなになってしまっていた恋にケリをつけたのだ。彼女の表情を見る限り、無理をしているようには見えないし、きっとこれでよかったのだと思う。


じゃあ、私はどうだろう。いつまで偽りの関係を続けるつもり?

周りにバレるまで? それとも、本当の夫婦になれるまで──?

私達の関係を本物にすれば、すべてが上手くいく。何を聞かれてもヒヤヒヤしないし、もう親に急かされて焦ることもなくなるし、それに……。


『お前も本当に俺のものになるんだから』

マンションで言われた部長の一言を思い出し、ドキンと心臓が波打つ。

結婚するということは、私は彼のものに、彼は私だけのものになるということ。私が望むのは、その“永遠の愛”を手に入れることだ。


こうなったら、部長にムコ殿になってもらうために、私も本気で落としにかからないと……!

少々ズレているような気がしないでもない闘志を漲らせ始めていたその時、本庄さんが小さなため息とともに本音を漏らす。


「いいなぁ。私も好きな人と毎日一緒に寝起きしたいし、愛妻弁当とか持たせてあげたいわ」

「……あい、さい弁当!」


何気なく口にされた彼女の言葉に、私は思いっきり反応してしまった。

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