貴方が好きです。


「佐伯くーん!この机は何処に運べばいいのー?」





少し離れた所から部長を呼ぶ声。

部長を佐伯くんと呼ぶのは部活内では、彼女だけだ。





「あー、七瀬は力仕事しなくていいから。」

「でもこれは部活で任された仕事でもあるんだけど?」

「七瀬は机の脚の裏を雑巾で拭いておいてくれるだけでいいから。」

「え?あたしだって机くらい運べー」

「ほら、これ水濡らして拭いとけ。」






部長は言うことの聞かない七瀬先輩の顔の前にズイっと空雑巾を突き出す。

観念したのか七瀬先輩は雑巾を渋々受け取って、

分かった、と言って水道の方へ歩いて行った。






「力仕事なんて男に任せておけばいいんだよ。」

「百合先輩、しっかりしてますよねー。」

「1年の頃から七瀬はあーだったからなぁ。」





もう3年の付き合いになんのかー、なんて笑いながら言う部長。

1年の頃から仲が良かったんだろうな…と部活中に見てて前から思っていた。

まぁ、それは部長に限らず、3年の先輩全員に当てはまる事だ。


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