貴方が好きです。
「結構キツかったなー!なぁ、龍!」
「何で一緒に帰ってんの?」
「方向一緒なんだから、いいだろー?」
高校初めての部活が終わった後、
俺に横に並んで帰る望月。
まぁ、別にいいけど…
「龍ももう入る事に決めてるんだろ?」
「うん、望月は?」
「歩でいいって!よそよそしいなー。」
「で?望月も入るんだろ?」
「…ブレねぇな…。まぁいいけど…」
その後に、俺ももう入るって部長に伝えてあるから、よろしくな龍!と続けて
いつものチャラい笑顔を俺に向けた。
「あーでも本当にマネージャーの先輩可愛かったよなー。」
「マネージャー目当てかよ」
「ちげぇよ!…と全否定は出来ねぇわな!」
そう言いながら、にひひと笑った望月。
まぁ、この男の場合は女好きそうだからな…
真面目に練習してくれれば俺は何も言う事はない。
「龍だって可愛いと思ったろ?」
「美人とは思った、それだけ。」
「あらやだ、何、何でそんな冷たいの。」
「別に、俺はサッカーがしたいだけだし。」
そう、だから、マネージャーが可愛いかろうが美人だろうが関係無い。
楽しく、サッカーが出来ればそれだけでいい。
「まぁあんだけ美人だったら彼氏いるんだろうなー」
「望月、早速失恋決定だな。」
「いやいやあの人は目の保養にするから。」
と真剣な顔をして俺に言う。
いや俺に言わなくていい、勝手にしてくれ…
「ま、だから百合先輩目当てで入って来る奴が居ても安心しろって事だわ!」
「?」
「浮ついた奴がチームメイト、なんてオレも嫌だしな。」
あ、オレこっちだから!じゃな!と言って手を振って帰って行った。
…一緒の気持ちのやつが居た…というか、バレてたのか…
チャラくて馴れ馴れしいが、やはり良い奴だと思った。
-----それが4月、初々しい頃の話。