貴方が好きです。
坂本さんを真っ直ぐに見つめて
やっと本当の事を口に出来た。
「急に御免、本当はもっと早ー」
「いいんです!…分かってましたから…」
彼女も驚いた表情を見せた後、ぎこちなく笑って続けた。
「そもそも無理矢理言って付き合ってもらったのは私です。」
「あれはでも、安来が…」
「それに!龍之介先輩が何か言おうとしてるの分かってて聞こうとしませんでした。」
おあいこなので、謝らないでください。と坂本さんは笑った。
そして続けて口早に、先にグラウンド行ってますね、と言った彼女に
俺は無意識のうちに呼び止めていた。
「坂本さん。」
「龍之介先輩早く行かないと始まー」
「これからは名字で呼んでほしいんだ。」
今こんな事言う奴なんて最低だと思う、
でも、俺の下の名前で呼んでいいのは、あの人だけにしたい。