貴方が好きです。
「名字…ですか…」
「うん、勝手な事言って御免。」
「…分かりました…」
「引き止めて御免、望月に先に練習始めておくように言っておいて。」
そう言って俺はまた歩き始めた。
とりあえず、部室で頭を冷やそう。
サボりなんて部長として最悪だが
このまま戻っても集中は出来ないし、
七瀬先輩とどんな顔して接すればいいのか分からない…
望月も心配そうな顔してたな…
色々考えてるうちに時間は10分ほど経過していて
これ以上サボるわけにはいかない、と思いグラウンドに戻った。
「あ、龍…、おかえり。」
「悪い…」
望月に申し訳なくなって謝罪すると
望月は笑顔で、部長を支えるのは副部長の役目だからなー、と言った。
さんきゅ、とお礼を言った後俺は周りを見渡した。
その行動の意味を直ぐに理解し、望月が答えをくれる。
「百合先輩、用事があるっつって帰った。」
「…そう。」
心の中でどこかホッとしながらも
残念がっていた俺がいた。
-----これが俺と七瀬先輩が顔を合わせた最後の日の話。