Savior-社長は救世主-ⅱ
今日に限ってエレベーターが来ない
階段で降りようかと思い
階段へ向かうと「絢斗」と声がした
『良かった、間に合って』
そう言って笑顔で駆け寄ってきた澪
さっきまでの嫌な気持ちが嘘のように晴れ、澪の笑顔に嬉しくなる
『今日って遅い?』
「いや、戻るのは7時くらいだ。家に帰るのは…9時には帰れる」
時計を見ながら、確認する
7時に戻れる保証なんてない
が、澪が聞いてくるときは
早く帰ってきてほしい時だ
それなら、どんなことがあっても
早く帰らなくてならない
いや、帰りたいんだ
『本当っ!やった!』
嬉しそうに言う澪が可愛い
笑う顔も、嬉しさを抑えようとする手の仕草も、全てが愛おしい
澪の手を取り、階段の横の視覚へ入った
澪は何がなんだかわからない様子