Savior-社長は救世主-ⅱ


今日に限ってエレベーターが来ない
階段で降りようかと思い
階段へ向かうと「絢斗」と声がした



『良かった、間に合って』


そう言って笑顔で駆け寄ってきた澪
さっきまでの嫌な気持ちが嘘のように晴れ、澪の笑顔に嬉しくなる


『今日って遅い?』


「いや、戻るのは7時くらいだ。家に帰るのは…9時には帰れる」


時計を見ながら、確認する
7時に戻れる保証なんてない
が、澪が聞いてくるときは
早く帰ってきてほしい時だ

それなら、どんなことがあっても
早く帰らなくてならない
いや、帰りたいんだ



『本当っ!やった!』


嬉しそうに言う澪が可愛い
笑う顔も、嬉しさを抑えようとする手の仕草も、全てが愛おしい


澪の手を取り、階段の横の視覚へ入った
澪は何がなんだかわからない様子
< 142 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop