Savior-社長は救世主-ⅱ
その時、またあのセリフを言ってきた
「澪、俺の名前を呼んで」
社長は…ずるい
弱い立場の時だけ、言ってくる
普段は絶対言わないくせに…
「ほら、言って」
そしてまた甘噛みをしてくる
『あ、…あ、あ、や、絢斗…さん』
なんとか言えた私に
よく言えました、とぎゅっと抱きしめる
「職場以外ではない、ちゃんと名前で呼んで。呼ばなかったらお仕置きね。まぁ、二人でいる時は百歩譲ってやるけど…」
お仕置きですか…
それはそれで怖い。
気をつけます、と伝えたが
3年も呼んでいたんだ
少しくらい大目に見て欲しいもんだ
行こう、と差し伸べられた社長…
いや、絢斗さんの手を握った
これから私の戦いだ、なんて
勝手に戦闘態勢だ
そんな私を見ている社長…
あ、絢斗さん…
だめだ、全然呼べない
いいや、声に出す時だけ気をつけよう!