記念日に愛の言葉を
あれから十年の月日が流れた。
「十年、あっという間だったな」
「うん、そうだね」
二人で話をしながらワイングラスを傾ける。
十年前にホテルのスカイラウンジでプロポーズされた。それから半年後に結婚し、二人の子供にも恵まれた。その子供達を実家に預け今日は結婚十周年のお祝いをする為に記念の場所、ミルジュに来ると偶然にもあの時と同じ席に案内された。だから余計に当時のことが鮮明に蘇る。
そういえば政孝さんは花火大会の日に気持ちを伝えようと、わざと私に残業させたらしい。だけど予想もしてなかった私からの逆告白。政孝さんはその事がずっと引っ掛かっていてプロポーズは絶対に自分から言おうと、前々から雑誌などを参考にして段取りを決めたと照れくさそうに教えてくれたのを思い出す。
「真琴、いつも俺や子供たちのことを最優先に考えてくれて、支えてくれてありがとう。感謝してもしきれない。俺は真琴の笑顔でいろんなことに頑張れているんだ。これからも夫婦で力を合わせてもっともっと幸せになろうな」
政孝さんの言葉に私は頷きながら嬉し涙を流した。
日々、家事や子育てに追われ自分のことを後回しにしている私にとって最高のご褒美をもらえた気がした。