記念日に愛の言葉を

その日は花火大会で、私は定時間際にチーフに頼み事をされ残業することになった。
仕事が終わると、企画部のフロアには今日と同じように私一人とチーフの鞄だけが残っていた。
片付けをして帰ろうとしたらチーフがフロアに戻ってきて頑張ったご褒美をくれると言った。

そのご褒美とは会社の屋上で花火を見ること。しかも花火を見た後にチーフが食事に誘ってくれるというおまけつき。私は勝手に期待し、自分の中に秘めていた気持ちをチーフに伝えた。
チーフは私から告白されるとは思ってもいなかったみたいで驚いていたけど、オッケーの返事をくれ、その日から付き合い始めて今に至る。

今日、チーフと食事の約束はしていたけど場所は聞いてなくて、まさかここだとは思わなかった。
有名なホテルだし、クリスマスシーズンの予約は取りにくいと言われていた。

今日はクリスマスイブと言っても平日だし仕事が終わる時間なんて日々違うのに、チーフは予約をしてくれていた。
予定外に私は残業してしまい、もしかして早い時間に予約していたらと不安になり、思わず聞いてしまった。

「あの、予約時間とか大丈夫だったんですか?」
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