翼をもう一度。


「路地裏暮らし長かったから。」



「長かったってことは
もう終わったんだね。
居場所があるっていいね。」



その時の裕也は
すごく暗くて悲しそうな顔だった。



「でもまた居場所なくなっちゃった。」



そう笑顔で言うと



「無理して笑わなくてもいんだよ?」



そういって頭を撫でてくれた。

死んだような目をした割には
あったかい人だった。


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