メルヘン・メンヘラ
放課後、僕は約束通り屋上へ行った。

屋上へ行く途中、虹に会い、
「お前ももうすぐ彼氏だな。」
と冷やかされた。

初対面で告白されるか、って僕は思う。
期待するだけばからしい。

屋上に上がると、橋本はいた。
空を眺めているのだろうか。

扉の音に気が付いたらしく、こっちを見る。

近づいてくる気配がないので、僕から少しずつ歩み寄る。

「こんにちは、橋本さん。」

彼女は無言。
直立不動。
僕の言葉はガン無視された。

「あ、あの、ぼ、僕が呼ばれた理由ってなんですか?」
戸惑いながらも言う僕は、相変わらず情けない。

彼女は無言。
直立不動。
僕の言葉はガン無視された。

「あの~。」

彼女は急に動いた。
といっても動き自体はとても小さいものだった。
左腕をまくるというだけだった。

傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。傷。血。線。


それはとても見られたものではなかった。

でも、僕にはそんなことを言う資格なんてなかった。

ODをやっている奴が、リスカを非難できるはずがない。

ただ、彼女の痛みは分かる。
苦しさは分かる。
辛さは分かる。
だからこそ、助けてあげたかった。

彼女の口から洩れたのは、甘い愛の告白でも、彼女の痛みでもなかった。

「私はあなたを助けたい。」







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