メルヘン・メンヘラ
バス乗るのも久しぶりだな。
電車で行くのは稀にあるけど、バスは入学して初めて使った気がする。
案外空いていてよかった。

と思ったのもつかの間、たくさんの人が乗ってきて、僕の気はだだ下がり。

続々と席は埋まっていく。

空いているものだと思ったので、調子に乗って二人席に座ってしまったが、いつ、隣に人が座るかと思うと気が気でない。
汚らしいおじさんとかじゃないことを心から望む。
とかいって、絶対、加齢臭の酷いおじさんが座るんだ。
地獄だ。

やっぱり学校は遠い。
まだまだ全然つく気配がない。

ふと、きょろきょろあたりを見渡してみる。
すると、僕の隣以外に空席はなくなっていた。
あぁ。
もう終わった。
あとはもう、死刑囚のようなものだ。
死刑執行の時を待つだけ。
そして、その時はすぐそこだ。

「あの~。」
あぁ。
終わった。
僕の天国は終わりをつげ、悪魔がやってきた。

「具合悪そうですけど、大丈夫ですか?」



なんか、予想していた感じと違う。

ふと顔を見上げると、そこには、顔がほとんど隠れるくらい大きなマスクをした女子学生がいた。
< 5 / 13 >

この作品をシェア

pagetop