ゆえん
第二章 一生のお願い
Ⅱ-Ⅰ
人間は感情を持つ生き物だ。
そして感情に左右されてコントロールが利かなくなることもある。
あの頃の俺は何の疑いもなく、明日も今日のように平凡な一日を過ごすだろうと退屈にさえ感じていた。
本当は誰しもが、どのタイミングで切れてしまうか分からない命のロープの上を歩いているだけなのだと気付きもしなかった。
俺たちがこの世界で生きていく中で、保障されているものなんて何一つない。
だからこそ俺の中でたった一つだけ貫き通したいものが生まれ、俺はそれを今も守り続けている。