ゆえん
葉山浩介の店とあって、当時のバンドマンたちは『Rai』にしょっちゅう足を運んでいた。
冬真もそのうちの一人だった。
憧れているギタリストが目の前にいる。
それだけでも通う楽しみがあった。
浩介は地元の若者たちにとても気さくに声を掛け、もったいぶらずにギターを弾いて見せてくれた。
バンドのメンバーの編成上、途中からドラムをやることになった冬真だが、これまでのギターの経験を生かし、作曲を試みるようになった。
オリジナルの曲を持った冬真たちのバンドは浩介から声を掛けられ、大学生活中に何度か『Rai』でのライブを実現させることが出来た。