ゆえん
高校に入るまでは音根高校に入ることだけが目的で、その先は何も考えていなかった。
「お前はさ、本当にやりたいことをやればいいよ。両親のことやこの店のことは俺が引き受けるから、大丈夫だよ」
「洋輔のやりたいことはいいのかよ」
「俺? 俺はやりたいことは趣味でやり続けるから。そのほうが性に合っている」
洋輔の部屋を出てからも俺は考え続けた。
やりたいことをやればいいか……。
俺のやりたいことってなんだ?
ギター弾くことぐらいしかないよな。
でも、ギターで金が稼げるのか……。