ゆえん


高校二年生の秋になって、要司と正幸と俺は、初めて高校の文化祭で演奏することを決めた。

ベースを弾きながら要司が歌うことになり、更に練習を重ねた。

オリジナルの曲を作り、歌詞は要司が書いてくれた。

こうなってくると、毎日が演奏のことばかりだ。


文化祭の当日、楓は瞳さんと観に来てくれていた。

俺たちの演奏を観に集ってくれる人たちがいる。

それだけでテンションが高くなった。


そして俺はこの初ステージで運命的な感覚を味わった。

ステージの上で演奏することがこんなに気持ちが良いことなんだと実感した。

この感覚は一度味わったら、辞められない。

ラストの曲で俺は確信した。


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