ゆえん
楓は、当時の瞳さんの年齢を越えた。
俺の記憶の中で老けないままの瞳さんの、年齢を重ねた姿が今の楓とも言える。
楓が好きだから瞳さんを忘れないのか、瞳さんに惚れているから楓を愛し続けているのか、俺には分からなくなっている。
ただ、俺の力で幸せになる二人の姿を見たかったのは確かだ。
恋愛なのか、家族愛なのか、どちらがどうとかのレベルではなく、俺はこの二人を愛し続けるだろう。
あの時の、瞳さんの『一生のお願い』が今の俺を作り上げたことに間違いはない。
一生に一度しか使えない特別な『お願い』だから、俺は守らなくてはならない。
いつか楓も『一生のお願い』という言葉を使う時が来るだろう。
その願いを叶えられる相手が俺であればいいと思う。
何に変えても、叶えてやりたいと俺は思うのだ。
第二章 【一生のお願い】~了
物語は第三章へ……