ゆえん


相手のことを見つめる。

向こうがこっちに気付いて視線を向けてきたら、三秒見つめ合って、視線を逸らす。

そして再び相手を見つめ、目が合った時に微笑み傍に行く。

それだけでこちらの好意を予め伝えておける。

たったそれだけの行為が最初から異性として意識してもらえることに気付いてからはそれを利用した。


一時は自分も相手にのめり込む。

頭の中で錯覚するのだ。

この人は修ちゃんだと。

でもそんなの違うに決まっている。

違うことを実感するともう一緒に居たくなくなる。

相手の気持ちなんて考えもしない。

新たな修ちゃん探しを始めるだけだった。



< 186 / 282 >

この作品をシェア

pagetop