ゆえん


もちろんトラブルも絶えなかった。

修ちゃんに似ている男であれば、その人に彼女がいようが関係なかったから、バイト先に乗り込んでくる女もいれば、振られた腹いせにバイト先に付きまとう男もいた。


キャバクラで勤め始めると、しつこい男は店側が対処してくれたので好都合だった。

それでも、諦めない性質が悪い男に遭遇した時と、東京に居続けても修ちゃん本人に辿り着かないことを悟った時期が重なり、私は音根町に戻ることにした。


久しぶりに戻った実家で、両親が私の帰りを待ちわびていたことを知った。

思えば東京で五年も過ごしていた。

父には嫌味を言われ続けたが、母は何も言わずに以前と変わらぬ態度で居てくれた。











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