ゆえん


音根町ののんびり流れる季節は、修ちゃんのことを少しずつ薄れさせてくれるように感じた。

それでも図書館の前に行くと、悔しさと悲しさが蘇ってくる。

何より隣には菜穂が以前住んでいた家がある。


菜穂の元夫は新しい妻を迎えて、何事もなかったように過ごしていた。

それを見ると、修ちゃんと菜穂の存在は夢の中の出来事だったようにも感じた。

もう少し時間が経てば、何とかなったのかもしれない。

だが、ある雨の日に修ちゃんを見かけたことで、私の心はまた狂うことになったのだ。



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