ゆえん
東京ではまた以前と同じような生活に戻った。
上っ面の笑顔でお酒を注ぎ、生活のためにお金を稼ぐ。
事故のことが頭に過るとそれをすべて菜穂と修ちゃんのせいにした。
そしてまた修ちゃん代わりの男探しに没頭する。
自分でも何故そこまで修ちゃんに執着するのか不可解だった。
ただ修ちゃんと過ごせたわずかな日々が一番幸せだったからかもしれない。
馬鹿みたいに痛い目に遭って、疲れた私はまた音根町に戻ることにした。
修ちゃんを見かけたのは音根町なのだから、音根町に修ちゃんがいるのかもしれない。
事故から四年経っても、警察も誰も来ないということは、あの事故は夢だったのだと思えるようになっていた。
そう私は何も悪くない。
悪いことなんてしていないのだから。