ゆえん
お互い、退屈な時間や、ほんの少しの寂しさを紛らわすためだけの存在なのだ。
相手もそれを承知でいるはず。
そうでないのなら、ネットの世界で夢を見ている甘ちゃんだ。
他人に対してこれほどまでにドライな私を作り上げたのは菜穂のせいだ。
信じるなんて馬鹿だと、姉のように慕うなんて間抜けだと突きつけられたのだ。
だから誰も信用したくない。
そう思っているのに、どうして冬真さんだけは別だと思ってしまうのだろうか。
私は自分で自分の感情が理解できない。
それでもはっきりとしているのは、私が冬真さんに恋しているという現実だ。