ゆえん


冬真さんが店に出勤してしまうと、私はマユと二人きりになった。

小さい子供の扱いに慣れてないので、どうしていいか困ってしまったが、マユは人懐こい子供らしく、私と目が合うと嬉しそうに笑っていた。


食卓にはケッチャプが添えてあるスクランブルエッグとベーコンが一緒のお皿に載っていて、白いご飯ときゅうりの一夜漬けが置いてあった。

一人暮らしでもこれだけの材料を常備してあるのだろうか。

朝は食べず、コーヒーだけで済ませていた私は驚くばかりだ。


「美味しそうだね。食べようか」

「うん」


マユと私は冬真さんが作ってくれた朝食を食べ始める。

こういう男の人と結婚したら、腹が立つことなんてないかもしれないと思いながら、スクランブルエッグの柔らかさに感動していた。


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