ゆえん
Ⅲ-Ⅵ
今朝のことで私のテンションは下がってしまった。
心なしか、冬真さんも昨日の雰囲気とは違う。
それをどう解釈して良いか私には解らなかった。
楓が『You‐en』にやってきて、浩介さんから「明日の午後に帰国する」と電話があったことを話していた。
私は冬真さんの顔を見たが、彼はいつもと変わらず、店の仕事をこなしていた。
浩介さんにあのメモを見せるのだろうか。
それにしても、美穂子はいったいどこで何をしているのだろう。
普通の母親であれば、我が子を他人に預けて居なくなるなんて出来ないと思う。
本当に葉山浩介との子供なのだろうか。
まさかと思いつつ、あれ以来、美穂子が姿を見せないのは、本当の父親に預けた安心感からだと思えなくもない。