ニコル
心を落ち着かせて
 テレビリポーターの口から出る言葉は、相変わらず憶測の域を出なかった。それでも、視聴者を引きつけようと必死になっていた。

 真生は、目の前にあるものが何なのか、懸命に理解しようとした。ただ、あまりにも場違いで、今までに経験した事ない光景に、なかなか理解する事が出来ずにいた。
 瞼を閉じ、聞こえてくる声だけに集中してみた。
 
 「今なお、生徒の行方はわかっていません。」
 「我々、朝日テレビではこの事件に関する情報を求めています。」
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