ニコル
 「真生か?助けてくれ。今、給食準備室にいるんだ。助けて。」
 その声は本当に救いを懇願している声だった。真生は困った顔をして、山口に助けを求めた。すると、山口はそっと真生の携帯を受け取り電話口に出た。
 「もしもし、ハヤテ君。警察のものだが、何があったんだい?」
 真生に話す時と同じようにゆっくりと質問をした。
 「お巡りさん。助けて。先生が、みんなが死んじゃうよ。」
 泣きじゃくりながら話しているせいで、山口にははっきりと聞こえなかった。が、事態は一刻を争う事だと感じた。
 「長瀬。校内に警官隊を突入させろ。」
 山口は考えるより行動が先だと感じた。でも、そんな山口の気持ちを長瀬は理解していなかった。
 「危険です。科捜研からまだ回答ないんですよ。」
 電話口に出ていないせいもあり、長瀬はまだ冷静だけれども熱く答えた。
 「とにかく突入させろ。責任は俺がとる。」
 そこまで言われて、長瀬は事の重大さを感じたようだった。慌てて走っていった。
 「これで大丈夫だよ。友達はおじさん達がきっと助けるからね。」
 山口は真生に微笑んだ。
 真生も山口に少しだけ微笑んだ。

 ―――何、この感じ?
 安心した気持ちの中に、何か違和感を感じた。
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