ニコル
 「はあ、はあ、はあ・・・。」
 ふたりの生徒は懸命に廊下を走っていた。後ろを振り向く余裕なんてなかった。後ろにはハヤテも他の生徒達もついてきているそう思っていた。
 ―――助けて・・・。助けて・・・。助けて・・・。
 涙はいくら拭っても溢れ出てきた。
 ―――なんで・・・、どうして・・・。
 何がなんだかわからなくなっていた。
 階段は何段も飛び越して駆け下りた。ふたりとも自分では信じられないくらいに、すごいスピードで走り続けた。
 下駄箱が見えてきた。
 ―――出口だ。
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