ニコル

　「ほらっ、近藤先生。授業ですよ。」
　同僚の江川が、浩二の肩をポンと叩いた。すると、浩二はまるで殴られたかのように椅子から崩れ落ちてしまった。
　「近藤先生、大丈夫ですか？すみません。そんなに強く押したつもりは無かったんですが。」
　江川に抱えられながら、浩二はゆっくりと首をあげた。
　「大丈夫です。少し気分が悪くなりまして。」
　浩二の顔色は誰が見てもおかしいと思えるほど、青白くなっていた。呼吸も少し荒い。
　「ちょっと、保健室で休んだ方がいいんじゃないですか？僕が近藤先生のクラスには僕が言っておきますから。」
　浩二は静かに頷いた。
　「すみません。お願いします。」