ニコル
さらなる増殖
 真生は自分の中に、何か違和感を感じていた。もうひとつ、心臓がある感じ、言葉で表すならそんな感じだった。真生の心臓ともうひとつの心臓、その鼓動が微妙にずれたせいだろうか、真生は胸が苦しくなっていった。
 ―――胸が重い・・・。
 真生は自分の体を支える事すら困難になっていた。
 「大丈夫か?」
 山口は真生の状態を見て、一瞬だけ慌てた。が、長年の経験からだろう、すぐに落ち着いて対応した。
 「今、救急車呼ぶからジッとしてなさい。」
 自分はパトカーから降り、そのスペースに真生を寝かせた。
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