ニコル
 首の周りがチクチクと痛み始めた。真生が首の周りをさすると血が滲んでいた。いや、滲むと言うより溢れ出していた。
 さっき、山口が隣にいた時には何もなかった首から激しく血が出ていた。
 つらさは、さっきの比にならなかった。
 ―――助けて。
 そう思い真生はパトカーの扉を開けた。その音に山口は振り向いた。血だらけの真生に駆け寄ろうとした。

 ゴロン。

 真生の首はその重さを支えられなくなり、地面に転がり二回転した。

 さすがの山口も目の前で首がもげるのを見るのははじめてだった。言葉を失い、その場に立ち尽くした。その視線はただ真生の首を見詰めていた。
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