ニコル
 「いってきます。」
 元気いっぱいの声でニコルは出かけた。浩二はその後ろ姿を見守るかのように歩いていた。
 「走らない。車とか来たら危ないぞ。」
 そんな注意などニコルの耳にはまるで入っていなかった。
 「こら、ニコル。」
 それでもニコルはどんどん先に走っていった。浩二は慌ててニコルのあとを追った。
 ―――ああやって、いつも寄り道して遅刻しているらしいからな。ボニーは毎日、決まった時間に家を出しているって言うし。今日は絶対にまっすぐ学校に行かせてやる。
 「待て、ニコル。」
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