ニコル
 もっと、もっと大きくなった。さすがに巧も気になり始めた。
 「なあ・・・。」
 巧の言葉はそれだけだった。けれども、一馬にはそれだけで十分だった。
 ふたりはゆっくりと立ち上がり、音がどこから聞こえてくるか探し始めた。その音はわりと近くから聞こえているようだった。耳に手をやり、首を右へ、左へ、その音を求めて動かした。

 カタカタ、カタカタ、カタカタ、カタカタ、カタカタ・・・。
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